2020年 入居者トラブル相談件数の割合
トラブルなく安定的な収益を得られることが一番ですが、賃貸経営をしていれば避けられないものです。未然に防ぐことはできないでしょうか。
当社に寄せられた「入居者トラブル」を分析してみると、ご相談の多くはいくつかの内容に集中することがわかりました。上位3つの内容で半数以上、上位5つで8割近くを占めているのです。これらのトラブルについて原因を認識しておき、対処方法や未然に防ぐ解決策を心得ておけば安心ですよね。
2021年最新版として、昨年一年間に私たちがご相談を受けたトラブルの内容と対策をランキング形式でお伝えいたします。
もっとも多いご相談は「家賃滞納」です。放置しておくと法的手続きにも発展してしまいますから不安ですよね。相談いただいたものの中には、なんと滞納期間14カ月といったケースも・・・長引く前に対策をすることが重要です。
ほとんどのケースは「うっかり忘れていた」ということが原因です。このような入居者さまの場合、きちんと督促を行えば問題解決することが多く、だからこそ初動が大事になります。速やかに対応することで、以降の滞納を防ぐことにも繋がります。
1日でも遅れたら即連絡
電話・訪問・書面にて督促を行います。
なぜ滞納してしまったのかをヒアリングし、いつまでに支払うことが出来るのかきっちり約束を取ることが大切です。
度重なる家賃滞納が起こったり、督促に耳を貸さない悪質な場合もあります。問題が長引かないうちに法的手続きを検討しましょう。滞納から3ヶ月を目安として、法的手続きを検討してみてください。
事前の対策は、やはり入居審査をしっかり行うことに 尽きます。勤務先や勤続年数、収入等をしっかりチェックし、安心できる入居者かどうか見極めましょう。
退去時における原状回復をめぐるトラブルは増加傾向にあり、私たちが相談を受けることも多くございます。2020年4月の民法改正により、原状回復の在り方や敷金の取扱いについて明確に定義されました。従来の慣習のまま情報をアップデートできていない方、この機会に、敷金の取り扱いや費用負担等の見直しをしましょう。
曖昧な対応はトラブルのもと。退去時に発生する費用について、オーナーさんと入居者さんのどちらが負担する費用なのか、しっかり理解しておくことが大切です。
入居者さんが負担する原状回復工事費用をしっかり理解しましょう。
東京都の賃貸住宅紛争防止条例(東京ルール)を確認してください。
ルームクリーニング費用は当たり前に入居者さん負担だと思っていませんか?
原状回復工事の原則は以下の通りです。
ルームクリーニング費用やペット飼育に関する事項等、特約に記載されている場合が多くあります。
退去時にトラブルにならないよう、契約前にきちんと説明をし、お互いが理解をしておくことが必要でしょう。
また、特約には、借主が負担すべき範囲が明確に記載されていないと効力がありません。
例)ルームクリーニング費用・鍵交換代・エアコンクリーニング費用…(金額まで明記すること)
記載内容について、一度リーガルチェックを受けることもお勧めいたします。
こんな経験はありませんか?
・知らないうちに入居者さんが増えていた。
・いつの間にか入居者さんが入れ替わっていた。
・ペット飼育不可物件なのにいつの間にかペットを飼育している。
契約に絡むトラブルは解決までに手間がかかってしまうことも多く、事前の対策が欠かせません。
どんなことが契約違反に当たるのか、入居者さまが認識していないことが一番の問題です。
禁止事項や制限事項は漏れなく契約書に記載しましょう。
そのうえで契約時に対面でしっかりと説明することが必要です。
それでも契約違反をされた場合は、すぐに管理会社や弁護士さんに相談してください。
その他、サブリース契約を解約したいのにできない…
民法改正後、契約書に反映されていない…といったこともご相談を受けます。
まずは、管理会社や弁護士さんに相談してください。
こんな相談を受けています
・上階からの水漏れ
・ベランダの排水口が詰まってスムーズに水が流れない。
・営業で親切にしてもらった業者にクロスの貼替をお願いしたら、ボコボコの状態、汚れもあり、納期もかなり遅れた。
・外壁の塗装工事をしたいのですが、どこにお願いしていいかわからない…
内容に応じていくつかの業者さんと付き合っておく必要があります。
管理会社に相談してみてください。
コロナ禍で事務所や店舗物件は大きく影響を受けておりますが、居住用物件についても今後不安に感じておられる方は多いのではないでしょうか。ご相談を受けた際は、入居者さんに寄り添った対応が望まれます。
2020年4月から施行された民法改正では、これまでの「賃貸物の一部滅失に因る賃料減額」について、『借主は賃料の減額を請求できる』とされていたものから、「借主の請求を要せずに当然に賃料の減額がされる」「賃借物の一部が使用及び収益出来なくなった場合も含む」とされましたことや、連帯保証人の極度額の設定等、押さえておかなければいけないポイントがございます。
契約書の見直しについても、定期的に必要となるでしょう。
変化の中、入居者さんときちんと向き合い柔軟な対応をしていきましょう。